―栗生楽泉園での胎児標本問題について―
谺雄二 より抜粋
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 略 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
胎児標本に関する質問書
標記の件に関し、下記の項目について質問いたします。
一、カルテ調査の結果について
この調査については先生のご努力により、当園開設以来の全女性入所者のカルテを調査いただいたが、結果は三ヶ月〜四ヶ月中絶等で胎児標本に至る記録は見当たらない。しかし私たち自治会調べでも、須○マ○子氏(昭和二八年十二月一三日死亡)と○藤○子氏(平成一五年一一月八日死亡)の場合、昭和二六年頃それぞれ手術により子を堕ろしており、また胎児標本化されている。にもかかわらず双方ともカルテには何ら記入されていないことがこの調査で判明。昭和二六年頃といえば、すでに「優生保護法」が制定・施行されていることから、優生手術の事実さえカルテ記入なしでは、この法律にも違反しているとみなさざるをえない。この点ご回答願いたい。
二、胎児標本の処理について
当園機関誌『高原』(二〇〇五年八月号)掲載の沢田五郎氏の文章「胎児の標本について」によれば、検査室勤務だった元職員山田誠作氏の記憶では当園にあった胎児標本は「十二体ぐらい」とある。これが事実なら、この胎児標本は現在どこに保存されているのか。いや保存されていない。同じく沢田氏のその文章でもふれている通り、当園の胎児標本は推察するところ、昭和五八年に開園以来の「解剖臓器並びに手術後臓器」と共に、草津町火葬場で「焼却」されてしまっているからである。(添付資料参照)。
ついてはこれが事実ならば、当時の元施設幹部の協力も得て、次の諸点について回答願いたい。@「焼却」は厚生省の指示によるものか。Aまたは施設当局の判断によるものか。Bそしてその際に「焼却」された胎児の数は何体だったのか。Cその胎児の親に当たる入所者に何の連絡も行なわなかったのはなぜか。Dさらに「焼却」された胎児の両親―少なくともその女性入所者の氏名はぜひとも明らかにされたい。
上記一、二、の項目についての回答は出来る限り速やかに願いたい。私たち全療協はこのたびの臨時支部長会議において別紙「声明」を決議している。標記「質問書」も当然これに基づくものである。 以上
(文中の氏名の伏字は筆者による。また「添付資料」は前掲の施設保管書類)
なおこの「質問書」に「別紙」として添えた全療協臨時支部長会議(二〇〇六年二月一三日〜一五日)での「声明」も『全療協ニュース』と重複するが、あえてここに揚げておく。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 声明文、中略 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あえて私見を述べると、栗生楽生園自治会長より施設当局にだした「胎児問題」の質問書を拝見しましたが、記録なし?何故と問いたい。記録なしで済む問題なのか?すでに厚生大臣の謝罪で全てお宮入りですか?こだまさんは、市民学会の藤野氏と相談いたし、今後真相究明に取り組みたい旨を言っていますが?問題は全療協側も「臨時支部長会議」にて取り決めたことを、関係する各支部長に栗生楽生園に右へ倣えで良いのでないか?「記録なしで済ませる問題」ですかね!今後の全療協の働きに期待する一人である。記録なしではないはずだ?この件について、全療協は相手にされなかった事に等しいのではと、小生は考える!